サッカーの世界では欧州と南米に強豪国やビッグクラブが集中しています。戦術的で規律を重んじる欧州サッカーに対し、南米は攻撃的で自由です。たとえば、サッカー大国であるブラジルでは喜びを意味する「アレグリーア」が非常に重視されてきました。プロサッカー選手も子供も、同じようにひたむきな気持ちでボールを追いかけ、スーパーテクニックを磨き続けます。こうした技術のいくつかは近代サッカーにおいて無駄だとみなされることもあります。それでも、ブラジル人は効率よりも純粋なスポーツ的快楽を尊重し、閃きにまかせたプレーを身につけていくのです。
ブラジルのライバルチームであるアルゼンチンは、より狡猾で駆け引きの上手い選手をたくさん輩出してきました。
代表チームではマラドーナ、リケルメ、メッシといった絶対的なエースを守備的な選手が支える構図が定番となっています。また、ウルグアイは歴史的に優れたストライカーをたくさん生み出してきました。スアレスやカバーニといったスター選手は、生粋の点取り屋でありながらチームプレーの精神も忘れないところが特徴的です。
南米サッカーの面白さを凝縮している代表チームがチリです。特定の選手に依存するのではなく、フィールドプレーヤー全員が労を惜しまずに動き回り、奪い取ったボールを速攻でゴールにつなげます。そのアグレッシブな姿勢と縦への推進力は、サッカーの根源的な楽しさに満ちています。
ビジネスとしてのサッカーは中心が欧州に移ったものの、南米の代表チームやクラブは常にスペクタクルを追及していて魅力的です。